レッツ・プレイ・ジャズベース!

ジャズといえばウッドベース、ですが、わけあってエレキベースで挑戦。ベースやるならウォーキングベース、ベースといえば4ビート!

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以前Jim Stinnettジム・スティネットというアメリカのベーシストが編んだ
ポール・チェンバースのアドリブソロ・コピー集3部作を紹介しました。

ありがたいことに、このうちの何曲かのサンプルを
著者自身がホームページで提供してくれています。
サンプルなので、全コーラスでない曲もありますが、
なにしろポール・チェンバースのアドリブソロ譜です、
もらっておかない手はありません。

ジム・スティネットのホームぺージBOOKSというコーナーを開くと、
上のほうに教則本のタイトルが並んでいます。
ポール・チェンバースのアドリブ集のタイトルは、THE MUSIC OF PAUL CHAMBERS、
Arcology、THE MUSIC OF PAUL CHAMBERS VOLUME3の3冊です。
それぞれのタイトルをクリックすると、紹介コーナーに移動。
そこにあるsample pagesをクリックすると、PDFファイルのアドリブ譜が出てきます。

第1巻のTHE MUSIC OF PAUL CHAMBERSからは、
Castle Rock(B♭のブルース、3コーラス分)

第2巻のArcologyアルコロジーからは、
September In The Rain
Walkin (Fのブルース、3コーラスの途中まで)
Winter Wonderland
This Can't Be Love (1コーラス)

第3巻のTHE MUSIC OF PAUL CHAMBERS VOLUME3からは、
Tadd's Delight
Tadd's Delight(alternate take)
Minor Rundown(1コーラス)
Almost Like Being In Love(アドリブソロの最後の4小節が載っていません)
Epistrophy

ウォーキングベースのパターンを覚えてハメ込む①の続きです。

前回まとめた①から⑧までのベースラインのパターンをハメ込んで
12小節のブルースのウォーキングラインを作ってみます。

この「ウォーキング・ジャズ・ラインforベース」(エー・ティ・エヌ)のパターンを利用しながら、
ウォーキングラインを次のコードの音につなげる6つの方法も使えば、
さらにスムーズにウォーキングベースが作れるのですが、
ここではパターンをそのまま使うことにします。


■①から⑧までのパターンをほどよく使って
B♭のブルースを4小節ずつ作っていきます。


■最初の4小節の譜面
B♭ブルース01
(クリックで拡大)

音声ファイル→聴く

☆1小節目は⑦のパターン
1→♭7→6→5
*楽譜ソフトの仕様で、譜面ではA♭がG#と表記されてしまっています。
G#=A♭です。

☆2小節目は①のパターン
1→3→5→3
*楽譜ソフトの仕様で、譜面ではE♭がD#と表記されてしまっています。
D#=E♭です。

☆3小節目は③のパターン
1→2→♭3→3
*楽譜ソフトの仕様で、譜面ではA♭がG#と表記されてしまっています。
G#=A♭です。

☆4小節目は⑦のパターン
1(8)→♭7→6→5
*楽譜ソフトの仕様で、譜面ではA♭がG#と表記されてしまっています。
G#=A♭です。


■中間の4小節の譜面
B♭ブルース02
(クリックで拡大)

音声ファイル→聴く

☆5小節目は⑤のパターン
1→2→3→5
*楽譜ソフトの仕様で、譜面ではE♭がD#と表記されてしまっています。
D#=E♭です。

☆6小節目は①のパターン
1→3(dimの場合は♭3)→5(dimの場合は♭5)→3(dimの場合は♭3)

☆7小節目は②のパターン
1(8)→6→5→3

☆8小節目は⑧のパターン
1(8)→♭7→5→♭5
*楽譜ソフトの仕様で、譜面ではD♭がC#と表記されてしまっています。
C#=D♭です。


■最後の4小節の譜面
B♭ブルース03
(クリックで拡大)

音声ファイル→聴く

☆9小節目は⑤のパターン
1→2→3(マイナーコードの場合は♭3)→5
*楽譜ソフトの仕様で、譜面ではE♭がD#と表記されてしまっています。
D#=E♭です。

☆10小節目は⑥のパターン
1(8)→3→6→5

☆11小節目は④のパターン
1→3→4→#4

☆12小節目は③のパターン
1(8)→2→#2→3


■まとめて12小節
B♭ブルース1コーラス
(クリックで拡大)

B♭のブルースの音声ファイル(1コーラス)→聴く

なお、「ウォーキング・ジャズ・ラインforベース」には、
以下のように20曲、
ジャズスタンダードのコード進行に沿ったベースラインが載っています。
お手本のCDで演奏も聴けます。

・Take The 'A' Train
・So What
・Autumn Leaves
・All Blues
・Someday My Prince Will Come
・Just The Way You Look Tonight
・Night and Day
・All of Me
・Satin Doll
・How High The Moon
・Out Of Nowhere
・Days Of Wine And Roses
・All The Things You Are
・Donna Lee
・There'll Never Be Another You
・What Is This Thing Called Love
・Stella by Starlight
・A Night in Tunisia
・Cherokee
・Giant Steps

サテンドール



ジャズベースの基本 ウォーキングジャズラインforベースジャズベースの基本 ウォーキングジャズラインforベース
Jay Hungerford

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「ウォーキング・ジャズ・ラインforベース」(エー・ティー・エヌ)は、
著者が考えたベースラインのパターンを組み合わせると、
1曲のウォーキングベースが完成してしまうという便利な教則本です。

コードの構成音やスケールノート、経過音を使って、
あらかじめいくつかパターンが作ってあるのですが、
それをコードに合わせてハメ込んでいくという手法です。

コピー&ペーストのような感覚でできてしまいます!

本では、ブルースやリズムチェンジ(循環モノ)やスタンダードナンバーを使いながら、
少しずつこの練習を発展させていきます。

ジャズブルース


たとえば、ブルースを作る場合、
1小節のベースラインのパターンが8つ提供されています。
ルート音(1)はオクターブ上の音(8)も使えるので、
合計16ものパターンになります。

①1(8)→3→5→3
②1→6→5→3
③1→2→#2(♭3)→3
④1→3→4→#4
⑤1→2→3→5
⑥1→3→6→5
⑦1→♭7→6→5
⑧1→♭7→5→♭5
(数字はルート音からの度数を示しています)


このやり方を使って、B♭のブルースのウォーキング・ベースを作ってみます。

■B♭のブルースのコード進行。
B♭bluesコード進行
(クリックで拡大)

■B♭7の8つのベースラインのパターン。
(オクターブを含めると16パターン)

①1(8)→3→5→3
B♭7①
(クリックで拡大)


②1→6→5→3
B♭7②
(クリックで拡大)


③1→2→#2(♭3)→3
B♭7③
(クリックで拡大)


④1→3→4→#4

B♭7④
(クリックで拡大)


⑤1→2→3→5
B♭7⑤
(クリックで拡大)


⑥1→3→6→5
B♭7⑥
(クリックで拡大)


⑦1→♭7→6→5
B♭7⑦
(クリックで拡大)
*楽譜ソフトの仕様で、譜面ではA♭がG#と表記されてしまっています。
G#=A♭です。

⑧1→♭7→5→♭5
B♭7⑧
(クリックで拡大)
*楽譜ソフトの仕様で、譜面ではA♭がG#と表記されてしまっています。
G#=A♭です。

*他のコード(Fm7、Edim、G7、Cm7)のパターンは、
B♭7のパターンを移調して作ります。
ただし、Fm7とCm7は3が半音下がります(♭3)。
Edimのコード構成音は(1=E ♭3=G ♭5=B♭ ♭♭7=6=D♭)になります。


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ウォーキングベースのパターンを覚えてハメ込む②に続く。

サム・ジョーンズといえば、
後ノリのずっしりと重たいベースの代表選手。
同じくオスカー・ピーターソンのバックを務めた
レイ・ブラウンやニールス・ペデルセンに比べると、
やや地味な存在ですが、
目立ちたがり屋でないところがかえってベーシストらしくて、
大好きなベーシストの1人です。


これは1969年プラハでのオスカー・ペーターソン・トリオの演奏で、
曲はピーターソンの十八番の一つ、You Look Good To Me。
サム・ジョーンズが汗をかきかき力強くベースを弾いています。

サム・ジョーンズはファンキーなジャズ・スタンダード・ナンバーを
いくつか残している名作曲家でもあります。
たとえば、キャノンボール・アダレイ・クインテット時代に作曲した
「ユニット・セブンUnit 7」や「デルサッサーDel Sasser」。
「ユニット・セブン」はウェス・モンゴメリーの
Smokin at the Half Noteの名演でも有名ですね。
かけ合いがカッコいい「デルサッサー」は、
If You Never Fall In Love With Me(「貴女にふられて」という邦題あり)
というタイトルで歌詞もつけられ、
ボーカリストにもよく歌われます。

カーメン・マクレエの熱唱をお聴きください。


カーメン・マクレエが歌う前に
「すごくキュートなアップテンポの曲よ……でも、『デルサッサー』って何かしら?」
というようなことを言って、大笑いしています。

昔から「デルサッサー」は謎のタイトルとされてきたのです。

最近インターネットで読んだ話を一つ紹介します。
アメリカのジョン・ウィータラというベーシストが語ったエピソードです。

ジョン・ウィータラが1980年代、サンフランシスコのバーのカウンターで
「デルサッサー」を口ずさんでいると、
年上の美女が近づいてきて、「その曲をご存じなの?」ときいたそうです。
ジョン・ウィータラが「『デルサッサー』ですよ」と答えると、
年上の美女は「サムは1960年代に、この近くのジャズ・ワークショップで
よくプレイしていたのよ。彼はわたしの親友だったの。
わたしの名前はアイリーン・デルサッサーよ」と教えてくれたのです。

この美女が真実を語っていたかどうかはわかりませんが、
興味深い話ではあります。

ジョン・ウィータラもサム・ジョーンズを
自分のベース・ヒーローの1人だと言っていますが、
アメリカではサム・ジョーンズのベースライン集が出ているくらいです。

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Rob Gourlay

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サム・ジョーンズとニールス・ペデルセンが対決している
ユニークなCDがあるのをご存じでしょうか?
アルバム名はその名もDouble Bass。

Double BassDouble Bass
Niels-Henning Orsted Pedersen

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ウサギとカメのようなベースの対決というか、
何から何まで対照的な2人のプレイが聴きものです。
片や軽快で小回りのきく流麗かつクリアなペデルセンのベース。
片や鈍重でカーブを曲がり切れないようなサム・ジョーンズのベース。
蝶のように軽やかに舞うペデルセン。
無骨にどたばたと歩くサム・ジョーンズ。
1回聴いただけでは絶対にペデルセンに軍配があがります。
しかし、何回も、いや何十回も繰り返し聴くうちに、
ウサギのあとを行くカメに声援を送るように、
「負けるな、サム・ジョーンズ!」と応援したくなってくる不思議なアルバムです。
そして、最後にサム・ジョーンズの鈍重なベースのほうが
本物に聴こえてきてしまう人は、
かなり本格的なジャズベース・ファンといえるでしょう。

高倉健さんみたいに不器用だけど、
質実で堅実で誠実なサム・ジョーンズのベース。
その魅力を余すところなく伝えている
日本人プロデュースのアルバムが2枚あります。


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サム・ジョーンズ

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なお、「デルサッサーDel Sasser」は
「ジャズベースランニング104 実例集(1)A~F」の利用法とは?で紹介した
ベースライン集にも入っています。

今回の「A列車で行こう」のニールス・ペデルセンのベースラインは、
アップテンポということもあるのかもしれませんが、
得意の1拍3連も使われず、いつもよりシンプルで
きわめてオーソドックスです。
ほんとうにニースル・ペデルセンなのか、と疑ってしまうくらいです。
しかし、クレジットにはちゃんとペデルセンと記されています。

1974年、オスカー・ピーターソン・トリオが
米ソ冷戦時代のソ連で行なった
珍しいコンサート(In Russia)での演奏のコピーです。

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■ピアノがアドリブに入って1コーラス目のベースライン
A列車01
(クリックで拡大)

A列車02
(クリックで拡大)

A列車03
(クリックで拡大)


■自分で演奏してみた「A列車で行こう」のウォーキングベースの音声ファイル

■「A列車で行こう」と同様のコード進行の1例
シュッポッポ01
(クリックで拡大)

シュッポッポ02
(クリックで拡大)